
岩手県陸前高田市を拠点に事業を展開する仁藝は、ヒューマノイド(人型ロボット)と地域が共に暮らす新事業「KYO-SEI(ヒューマノイドとの共生事業)」を開始。その第一歩として、人型ヒューマノイド「Booster K1 edu」を地域に迎え、陸前高田市の暮らしの中でどう活かせるかを探る実証導入をスタートした。
特徴は、ヒューマノイドをはじめとするロボットを「便利な道具」としてではなく、住民が愛着をもって“一緒に育てていく”暮らしの仲間として地域に迎える点。そこで生まれる関係性を土台に、ロボティクス技術で農村の暮らしを豊かにし、持続可能性を高めていくことを目指す。
日本のローカルと世界をつなぐ
仁藝は、岩手県陸前高田市を拠点に、日本のローカルと世界をつなぐことを軸として2025年8月に設立された。
陸前高田市を拠点に、学生や町の人たちとともに「まちづくり」と「ひとづくり」に取り組んでいる団体「SET」の15年にわたる実践をもとに、人と人の出会いから新しい可能性が生まれる環境づくりに取り組んでおり、現在は3つの事業を展開している。
1つ目は「EK-KYO(越境コーディネート事業)」。海外から日本のローカルへ、人の流れをつくる事業だ。その土地の「見えない日常」に深く入り込む越境プログラムの企画・運営と、地域団体の海外ネットワーク構築支援を行っている。
2つ目は「SOU-HATSU(創発事業)」。社会をよくする取り組みに、資金の流れをつくる事業だ。現場力を活かした企業のIR支援と、地域で活動する団体・プロジェクトへの伴走支援を行う。
3つ目は、新事業「KYO-SEI(ヒューマノイドとの共生事業)」。農村から、人とロボットが共に生きる生態系をことを目指す事業だ。企業や開発者と連携し、地域や人に合った技術の活かし方を見極め、導入から定着までを地域とともに設計していく。
暮らしの仲間としてロボットと「共生」

近年、国内外でヒューマノイドをはじめとするロボットの開発が急速に進み、社会のなかでどう活かすかが問われる段階に入りつつある。
一方で、ロボットは「便利な道具」として語られることが多く、人とどんな関係を結んでいくのかという問いは、まだ十分に語られていない。
農村をはじめとする地域では、担い手不足や暮らしの持続可能性が大きな課題となっており、仁藝はこうした地域の現場でこそ、技術と人の新しい関係を試す意味があると考えている。人を置き換えるのではなく、人の仕事や創造性を広げ、暮らしを支える方向へ。ロボットを暮らしの仲間として迎える「共生」を軸に据えたのが、新事業「KYO-SEI」だ。
地域の中で果たすロボットの役割

「KYO-SEI」の第一歩として、仁藝は陸前高田市を舞台に、人型ヒューマノイド「Booster K1 edu」を中心に据え、地域でどう活かせるかを探る実証導入を開始。
今回導入される「Booster K1 edu」は、人とのコミュニケーションがとれる方向で開発が進む人型ロボット。地域の子どもたちが「booster」から想起し「ぶーちゃん」と名付けた。
人と関わり合う存在として、地域の暮らしの中でどんな役割を担え、どんな関係を結べるのかを確かめていく。
あわせて、すでに導入している、屋外での活動などを補う犬型の「Unitree Go2」(四足歩行)も活用し、人とロボットの距離感や関わり方、そして地域の暮らしの中での役割を多面的に確認する。
研究室の中ではなく、本物の暮らしの現場で技術と人の関係を確かめること。そして、地域や人に合った活かし方を一つひとつ見極めながら、住民が愛着を持って“育てる”感覚で関わっていける関係をつくること。この二つを大切に進めていくとしている。
海外の人との交流、SNS発信も進める

仁藝 代表取締役 岡田勝太氏とヒューマノイド「ぶーちゃん」
今後は、海外の人との交流、一次産業などで活躍してもらうことを想定。まずはイベントをはじめとするさまざまな場でのお披露目の機会を増やしていく。
また、「ぶーちゃん」が地域の中で“育ち”、できることが少しずつ増えていく日々を、SNSを通じて発信していく予定だ。技術が地域に根づいていく過程そのものを、多くの人々と分かち合う。
ヒューマノイドと“共生する地域”をつくる実証実験の今後に注目だ。
仁藝公式サイト:https://ningei.co.jp
実証導入詳細:https://ningei.co.jp/news/loO0IBak
(鈴木 京)